「形見分けはどのようにすればいい?」
とお問い合わせが多くあります。
今回の記事では、このような質問にお答えします。
形見分けとは個人と親交の深かった方々に遺品を贈ることを指します。
ただ、親交の深かった方々に適当に配るということではありません。故人の残した遺品を通して思い出を共有し合うために形見分けを行うのです。
遺品を贈られた方々が大切に遺品をその後の人生で使っていくことで、故人を偲ぶことに繋がります。
形見分けは故人を供養するような気持ちで行われるしきたりとなっているのです。
形見分けを行う時期は下記の宗教ごとによって異なります。
それぞれの宗派ごとによって行う時期や形見分けに対する考え方が異なってくるので、注意しましょう。
ここからは形見分けを行う時期や考え方を宗派ごとに細かくご紹介します。
仏教のしきたりに則る場合は、基本的に形見分けは故人が亡くなって49日経過後に行うことが通例です。
49日間の忌中は故人を偲ぶ時期のため、形見分けは行わない方針となっています。
仏教の考え方では49日後の法要である「忌明け」を行い、故人が仏様のもとへ向かうので、お見送りの意味を込めて形見分けを行います。
神式のしきたりに則る場合は故人が亡くなってから、50日経過後に形見分けを行うことが通例です。
この50日間は神式だと「死の穢れが残る期間」とされており、基本的に形見分けは行わないことになっています。
キリスト教のしきたりに則る場合は故人がなくなってから、30日経過後に形見分けが行われるのが通例です。
キリスト教に形見分けという考え方はありませんが、日本では故人がなくなってから、30日目の召天記念日の後に行わることがほとんどとなっています。
形見分けを行う際には下記のように5つのマナーが存在します。
いずれも、形見分けの際に知っておくべきマナーとなっています。
マナーを知らずに恥をかくという最悪の場合を防ぐためにも、必ずマナーはマスターしておきましょう。
形見分けはもともと親から子に、兄姉から弟妹や甥・姪に渡すというのが本来の在り方です。
そのため、目上の方に形見分けをするということは失礼とされてきました。
近年では、故人と親しかった方に形見分けをする傾向がありますが、マナーに厳しい方もいるので注意が必要です。
ただし、目上の方でも形見分けを強く希望する場合は形見分けを行っても問題ありません。
形見分けを行う場合は遺品を包装をせず、シンプルな形で贈ることを意識しましょう。
基本的には、半紙などで包み、水引きはかけず、「遺品」「偲び草」と表書きすることがマナーとなっています。
ただ、あらかじめ包装に包まれている遺品は、包装のまま表書きをして形見分けをするようにしましょう。
また、形見分けを行う際は基本的に包装はしませんが、別便で挨拶状を出すことがマナーです。
形見分けの遺品をどのような基準で選ぶかという点にルールはありませんが、高価な品は贈らないことがマナーとなっています。
というのも、高価な品は相続税や贈与税の対象になることがあるからです。
また、形見分けで高価な品を贈られた方が精神的に負担に感じたり、気まずいと感じる場合もあります。
形見分けでは思いやりを持つことや、金銭トラブルを避けることが何よりも大切なのであらかじめ覚えておきましょう。
遺品の中には極端に状態の悪いものも存在するでしょう。そこで、そういった状態の悪いものは相手に贈らないようにすることが大切です。
形見分けは使っていただけるものを贈ることがマナーなので、それを破ってしまうとマナー違反になってしまいます。
したがって、極端に状態の悪い遺品は、相手から強い要望がない場合は贈るのを避けたほうがよいでしょう。
マナーを強く気にする方もいらっしゃるので、遺品を贈る場合は状態の確認を必ず行うことが大切です。
形見分けを行う場合の注意点として、不要なものを無理に渡さないようにしましょう。
形見分けは相手に使ってもらえるものを渡すことがマナーとなっているので、相手にとって不要だったり使えないものを贈ると失礼です。
そこで、相手に遺品を贈る場合はその相手の性格や趣向を考慮することが重要です。
形見分けを行う際に贈るものとしておすすめなのが下記の3つです。
いずれも実用性があるものとなっているので形見分けで相手に送る際に最適です。そこで、ここからはそれぞれのものについて詳しくご紹介します。
時計やカバンは実用性が高く、年齢性別を問わず誰でも使用できるものになっているので形見分けの際におすすめです。
ただ、時計やカバンを相手に贈る際には下記の注意点を確認するようにしましょう。
上記の注意点をしっかりと確認しておかないと、実用性が下がり相手に迷惑がかかることがあるので気を付けましょう。
洋服や着物などは着るものなので非常に実用性が高いため、形見分けの際に最適です。
そこで、洋服や着物などの衣類を形見分けで贈る際には下記の注意点を確認しましょう。
上記のポイントは形見分けの際に見落としがちな注意点となっているので、十分に確認するようにしてから相手に贈るように心掛けましょう。
故人が趣味として収集していたものは形見分けの際に選ばれることが多いです。具体的には下記のような品目は特に選ばれやすいでしょう。
趣味で収集していたものはその趣味をやっていそうな相手に贈ると効果的です。
本当に欲しがっている方に贈ることで喜ばれるので、是非贈る相手を選んだ上で贈るようにしましょう。
形見分けを行う場合の注意点としては下記の2つが挙げられます。
いずれも無視することができない注意点となっています。もし、知らないまま形見分けをすると大きなトラブルが発生することもあるので十分な注意が必要です。
そのため、ここからは形見分けでの注意点について詳しく解説していきます。
形見分けの際に厄介なのが相続トラブルや贈与税の問題となります。
というのも、故人の遺品は全て相続財産となり、法定相続人にあたる方が高価な品を形見分けしてもらったときに、相続税の納税義務が発生する場合があるからです。
そこから相続トラブルに繋がってしまうことがあります。また、相続人以外の方が高価な品を形見分けされた時は、贈与税の課税対象となることがあるので同様に注意が必要です。
したがって、相続トラブルを起こさないためにも、高価なものを形見分けするのはなるべく控えましょう。
もし、どうしても高価なものを形見分けする場合は事前に専門業者に鑑定してもらうことが大切です。
専門業者に遺品を鑑定をしてもらうことで金額の証拠となるため、相続トラブルを抑えることができます。
細かいポイントとなりますが、高価なものを形見分けする場合は特に注意しましょう。
形見分けを行うと「相続財産の全部又は一部」を「処分」することと見なされ、相続を承認したことになります。
そのため、途中で相続放棄ができなくなってしまうので注意が必要です。
そのため、相続放棄を行うか結論を出すまでは、形見分けを控えるようにしましょう。
もし、知らずに形見分けを行ってしまうと、相続放棄ができず後悔することになるのであらかじめよく確認しましょう。
ハカシルのサービス