火葬場の予約方法には、個人で予約する方法と葬儀社に依頼して予約する方法の2種類があります。個人で予約できる火葬場は少ないので、原則として葬儀社に依頼して予約します。
火葬場の予約がとれないと葬式(葬儀)までに日数がかかり、ご遺体の保管料金といった追加料金が発生するのでなるべく早く火葬場を予約することが大切ですが、遠方の火葬場だとご遺体を運ぶ料金が高額になったという声があります。
火葬料金の基礎知識を知らないと、本当ならかからなかったはずの料金を支払ってしまったと必ず後悔します。この記事では、絶対におちいりたくない落とし穴と損しない方法を解説します。
火葬場を個人で予約する前に知るべきこと
火葬場を個人で予約すると、料金が抑えられるというメリットがありますが、手続きに手間がかかったり、葬儀社のみが予約できることが多いので予約できる場所が限られたりといったデメリットが発生します。
個人で予約する前に知っておくべきことをお伝えします。
公営と民営の火葬場のちがい
火葬場には公営と民営の2種類があります。
公営の火葬場は、自治体が税金といった公費で運営しているので、故人か喪主の住民登録がある自治体(市区町村)の火葬場なら使用料金を抑えることができます。公営の火葬場の方が民営より数が多く、全国の火葬場の96%以上が公営です。
民営の火葬場は、公費で運営しているわけではないので使用料金は高めですが、誰でも使用できます。東京都は公営より民営の火葬場の数が多くなっています。
運営元別の火葬場の使用料金目安
公営の火葬場の使用料金 | 民営の火葬場の使用料金 |
---|---|
0円~50,000円 | 49,000円~150,000円 |
個人で予約できる火葬場か確認
予約したい火葬場が個人の予約を受け付けているか確認します。
個人の予約が可能かどうかは、公営の火葬場は自治体(市区町村)に、民営の火葬場は民間企業、葬儀社、寺院といった運営元に問い合わせをします。
火葬場の空き状況を確認
火葬場の空き状況は葬儀社・個人に関わらず誰でも確認できます。
個人で使用できる火葬場の受け入れ条件を確認
予約可能な火葬場は、ご遺体を運ぶ車・棺・骨壺があれば個人でも使用できますが、受け入れ条件を確認する必要があります。
原則として、ご遺体が棺に入れられて適切な処理がされている、ご遺体に適切な搬送作業をおこない予約時間に到着できる、火葬当日に火葬に必要な火葬許可書と料金を用意できる、といった条件があります。
6尺(約182cm)程度までの棺しか火葬できない火葬炉が多いので、背の高い方や体の大きい方をお見送りするときには、大きな棺が焼却できる大型炉のある火葬場を予約する必要があります。
ご遺体を運ぶ車・棺・骨壺の選び方
ご遺体を運ぶ車の選び方
ご遺体を運ぶ車は専用の霊柩車(れいきゅうしゃ)でなくてはいけないと思いがちですが、法律的には自家用車でも運ぶことが可能です。
しかし、運ぶときに誤ってご遺体を傷つけてしまうと、刑法190条で定められる死体損壊罪に当たるリスクがあります。
(死体損壊等)
第百九十条 死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。
引用元:刑法第190条
ご遺体を棺に入れてのせることのできる、スペースがある車を用意しましょう。座席のシートを倒せば広さが確保できるワゴン車や、荷台がついた軽トラックならご遺体の損傷を防げます。
レンタカーでのご遺体の搬送は禁止されていることが多いので、契約書を必ず確認しましょう。
ご遺体をいれる棺の選び方
ご遺体をいれる棺は、サイズに注意する必要があります。ご遺体には死後硬直がおこるので、もとの身長にプラス10cm程度の余裕をもった棺を選ぶとよいでしょう。
ご遺骨をいれる骨壺の選び方
ご遺骨を収納する骨壺のサイズは2寸~8寸まであり、西日本は3寸~5寸・東日本は7寸ほどの大きさが選ばれています。
原則として、東日本はお骨を全部納める全部収骨方式、西日本は一部のお骨を骨壺に納めて残りを火葬場で供養する一部収骨方式であることから、納めるご遺骨の量により骨壺のサイズに違いがあります。
火葬に必要な火葬許可書を取得
火葬には火葬許可書が必要です。死亡診断書(死体検案書)・死亡届・火葬許可申請書を役所へ提出し、火葬許可書を取得しましょう。
親族や同居者といった方々が火葬許可書を取得できますが、死亡届の申請者と火葬許可書の申請者は同一人物でなくてはいけないので注意が必要です。
火葬許可書取得までの流れ
死亡診断書(死体検案書)を医師から取得
突然死や事故死、死因が特定できないときは、専門医による死体検案書が必要です。
死亡診断書(死体検案書)と死亡届を役所へ提出
死亡診断書と死亡届は、死亡から7日以内(国外で亡くなった場合は3カ月以内)に提出が必要です。
火葬許可書を役所で取得
取得した火葬許可書は、火葬当日に火葬場へ持参します。
火葬場の予約方法
火葬場は原則として電話で予約をします。火葬場ごとに必要な情報は異なるので、不明点は必ず確認しましょう。
火葬場の予約に必要な内容の例
・火葬を希望する日時
・亡くなられた方の氏名
・死亡年月日 ・時間
・申請者の氏名・住所・電話番号 ・亡くなられた方との続柄
・電話予約者の氏名 ・住所
八王子市役所のホームページより
葬式(葬儀)と火葬をまとめておこなえる斎場は特に混みあい、予約が1週間先まで満員ということもあります。早めに予約をしましょう。
火葬場を個人で決めるときの落とし穴
火葬場を個人で決めるときは、必要な手続きを全て自分でおこなうことになります。
優先順位や確認すべきことを事前に理解しておかないと、トラブルに繋がるだけでなく葬式(葬儀)がおこなえないことがあるので注意が必要です。
優先順位を間違えると葬式(葬儀)がおこなえないリスク
火葬場を個人の都合だけで決めると、お坊さんの都合があわず読経ができなくなり、葬式(葬儀)がおこえなくなります。
火葬場はお坊さんの都合、火葬場の空き状況、遺族の都合の順番で優先順位をつけて決めるようにしましょう。
家族・親族との話し合い不足によるトラブル
火葬場を家族や親族に相談せずに勝手に決めてしまうと、葬式(葬儀)に参加できなかった、十分なお見送りができなかった、といったトラブルがおこります。
ご遺体の安置場所から火葬場までの距離や、火葬場の設備を事前に確認しましょう。ご高齢の方は遠方の火葬場だと移動がむずかしく、近場だとしてもエレベーターがないといった理由で最後のお別れに参加できないことがあります。
家族・親族と十分に話し合い火葬場を決めないと、トラブルに繋がります。
火葬場を損せず予約する方法
火葬場には公営と民営があり、公営の火葬場を選んだ方が損しません。故人・喪主の住民登録がある市区町村の公営の火葬場は、原則として市民料金で利用できます。公営の火葬場は地域の住民の方々の税金で運営されているので、使用料金が無料なこともあります。
市民料金で利用できる火葬場を予約
市民料金は無料から高くても75,000円程度です。
故人・喪主の住民登録がある市区町村に複数公営の火葬場があるときには、市民料金で使用できる火葬場が指定されていることがあるので、注意が必要です。
市民料金で予約するときの注意
近所の火葬場だから市民料金で利用できると思い込んで予約をすると、市民料金が適用されず損をしてしまうことがあります。
葬儀社を通じて火葬場を予約する前に確認すべきこと
多くの火葬場が個人ではなく、葬儀社からのみ予約を受け付けています。
葬儀社が代行するので、どんな料金が発生するかを事前に知っておかないと、気が付かない間に料金をぼったくられていた、ということになりかねません。
公営と民営の葬儀社のちがい
自治体と提携し、葬式(葬儀)の一部を協定料金でおこなっているのが、公営の葬儀社です。故人や喪主の住民票がある役所で区民(市民)葬儀利用券をもらうことで利用できます。
公営の葬儀社は、葬式(葬儀)に最低限必要なものの協定料金を自治体との間で決めているので、法外な金額を請求される危険性は少ないですが、必ずしも最安値で葬式(葬儀)をおこなえるわけではありません。
民営は協定料金がないので、葬式(葬儀)が最安値でおこなえることがありますが、高額な料金や追加料金がとられることがあります。
公営の葬儀社も、協定料金に含まれないものには追加料金が発生します。公営でも民営でも、見積りをとって事前に料金の目安を確認しておくことが大切です。
葬儀社が火葬だけをおこなえるかどうか
葬式には、通夜式・告別式・火葬をおこなう二日葬、告別式・火葬をおこなう一日葬、火葬だけをおこなう直葬(火葬式)の3つの方法があり、葬式に呼ぶ人数によって発生する平均費用に差があります。
直葬は公営でも民営でも費用を抑えたお見送りができますが、直葬をおこなっていない葬儀社もあるので、直葬をおこなえる葬儀社か事前の確認が必要です。
葬儀社と葬儀のやり方別の費用目安
二日葬 | 一日葬 | 直葬 | |
公営の葬儀社 | 52万円 | 50万円 | 15万円 |
民営の葬儀社 | 136万円 | 82万円 | 21万円 |
家族・親族と葬式(葬儀)の希望日を確認
家族・親族と葬式(葬儀)の希望日を確認して葬儀社に連絡しましょう。葬儀社は希望日をもとに、火葬場を提案します。
火葬場が混みあい予約が数日先になってしまうようなら、別の火葬場が予約できないか葬儀社に確認しましょう。葬儀社に提案された火葬場が空くのを待っていたら高額な料金が発生してしまいます。
近さ以外に必要な火葬場の条件
葬儀社は、葬式(葬儀式)の会場や自宅といった故人のご遺体の安置場所に近く、参列者が参加しやすい火葬場を提案することが多いです。
近場であることはメリットですが、他に必要な条件がないか、事前に確認した方がよいです。足が不自由な親族が参列したが、火葬中の会食がエレベーターのない2階の会場だったため、参加ができず悔いが残ったという声があります。
必要な条件を事前に葬儀社に伝えることで、火葬場・斎場を不自由なく使用できます。
葬儀社を通じて火葬場を予約するときの落とし穴
ご遺体の保管料金や搬送料金の目安を知らずに、葬儀社から提案された火葬場で火葬をすると高額な費用が発生して大損してしまいます。
火葬場の予約日程で保管料金が増えるリスク
ご遺体の安置には、安置室の使用料金やご遺体の損傷を防ぐためのドライアイス代といった保管料金がかかります。
安置日数が増えれば増えるほど保管料金が追加で発生するリスクがあるので、なるべく早く火葬場の予約をとり火葬をしましょう。
保管料金の1日あたりの目安
安置室代 | ドライアイス代 |
5,000円~30,000円 | 5,000円~20,000円 |
火葬場の距離で搬送料金が高額になるデメリット
ご遺体の搬送には搬送料金がかかります。
1回の搬送距離が50kmを超えると10kmあたり3,000円~5,000円程度の料金を追加する葬儀社が多いので、ご遺体の安置場所が火葬場に遠いほど搬送料金が高額になります。
葬式(葬儀)プランに大量につけられるオプション
葬儀社は、必要なものを組み合わせた葬式(葬儀)プランを独自に作っています。本当に必要かあやしいオプションが大量につけられていることがあるので、不明点は契約前に確認しましょう。
葬儀社を通じて火葬場を損せず予約する方法
葬儀社の割引サービスを活用
ほとんどの葬儀社は、割引サービスを利用することで金額が抑えられます。
受けられるサービスが人によって違うので、自分が利用できる割引サービスを選ばないと損をしてしまいます。
複数の葬儀社での見積り(相見積り)
少なくとも2社~3社の葬儀社で見積りをする相見積りが必要です。
葬儀社は見積りに記載する金額の内訳がそれぞれちがうので、相見積りで比較をしないと葬式(葬儀)に必要なすべてのものを含んだ適正な価格がわかりません。見積金額の表示の仕方も葬儀社ごとにちがうので、過剰なオプションが上乗せされていないか検討が必要です。
見積りをとる時間がない、見積りは取り寄せたけれど見方がわからないという方はハカシルにご相談ください。