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現役だと思ってた60代の親が突然帰らぬ人に。考えるべき親のXデーのこと

社会人となり数年が過ぎ、職場では「中堅」ともいわれるようになる30代。昇給昇格で仕事が忙しくなり、責任とともに自信もついてくるころです。

転職や起業、結婚をするなどで生活環境が変わり、実家に帰るのは年に数回で、親に会う頻度が減っている人もいるかもしれません。

そんなとき突然親が帰らぬ人に。

考えられない(考えたくない)かもしれませんが、もしものことは突然やってくるものです。感染症の流行などがあることを考えるとなおさらで、まさに「いつまでもあると思うな親と金」です。

親に何かがあったらどうなるのでしょうか?

「親のXデー」が来ると葬儀の準備と執行、納骨、お墓の準備、遺産相続の手続きと対応が続きます。自分が当事者になったとしたら親に聞いておきたいこと、やるべき手続き、利用できる制度があることを知っておいてください。

親はいつまでも元気なわけではない

厚生労働省による「平均寿命と健康寿命の推移」によると、2016年の日本人の平均寿命は、男性80.98歳、女性87.14歳で、介護が必要になったり認知症になったりして健康ではなくなる年齢を差し引いた「健康寿命」は、男性は72.14歳、女性は74.79歳です。

介護が必要になる割合は、85歳以上で6割となりますが、65歳以上から徐々に増加していきます。

参考:介護や支援が必要な人の割合はどれくらい?(生命保険文化センター)

また、認知症は高齢になるほど患者が多くなる病気ですが、65歳未満で発症する「若年性認知症」があるように、若くして発症するケースもあります。発症年齢の平均は51.3歳と、決して高齢者だけの病気ではありません。

参考:「若年性認知症支援ガイドブック」(認知症介護研究・研修大府センター)

死亡率が上がる60代

日本人の死因1位は「悪性新生物」(=がん)ですが、最新がん統計(国立がん研究センターがん対策情報センター)にあるように、男女ともに60代から死亡率が上がります。

親がもうすぐ60代になるのが30代

令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況「第1子出生時の母の平均年齢の年次推移 」(厚生労働省)では、昭和50年以降、第一次出生時の母の平均年齢は20代後半になり、近年では30.7歳に。

30歳前後になる頃は、親がもうすぐ60代に突入する時期、もしくはすでに突入している時期という方が多くなります。

60代は「もしものこと」がおこる可能性が高まり、60代世代を親に持つ30代は、将来についてまじめに考えることが必要なときといえそうです。

もしものことは突然やってくることが少なくありません。まじめに考えることが必要という理由は、親のXデーがきたとき、突然のことで全く準備をしておらず、「必要な情報を知らなかった」ために、苦労や損することを回避するためです。

突然きた親のXデー。まずは葬儀社に連絡。喪主は誰がなる?

親のXデーが突然来てしまったら、残された家族としては悲しむ暇がないほど、やらなければならないことが沢山あります。

まずは葬儀社に連絡して遺体の安置、葬儀における打ち合わせをおこないます。 葬儀社につていは、故人が生前契約している場合や希望がある場合もあるため、あらかじめ確認しておくと、葬儀社をどこにするかで迷うことがありません。

子どもが喪主になるケースも

葬儀にあたっては、主宰者となる喪主を決めます。故人による指定がなければ、配偶者や子どもが務めることが一般的で、配偶者がいても子どもが喪主になるケースも少なくありません。

葬儀の喪主になった方の体験談として多いのは、とにかく慌ただしく「ものすごく忙しい」ということ。ただし、喪主は一人である必要はありませんので、必要に応じて2人あるいは3人と複数人で務めることが可能です。

喪主になるとやらなければならないこと

お葬式の前に書類を提出

故人が亡くなったことを知らせる書類や火葬許可を得る書類を準備し、市町村や火葬場、墓地の管理者といった必要箇所にそれぞれ提出します。

寺院に連絡

お墓が寺院にある場合は菩提寺(ぼだいじ)に連絡して、戒名や読経の相談をしますので、菩提寺を確認しておく必要があります。 なお、菩提寺がない場合は、葬儀社に僧侶の紹介を手配してもらえます。

葬儀社と打ち合わせ

葬儀の日程を調整し、葬儀が予算内におさまるかを考慮しつつ、参列者数を想定して食事の手配の確認をします。

通夜・葬儀(告別式)の主宰

受付やご案内を誰がおこなうかといった役割を決め、弔問客や僧侶への挨拶をおこないます。

葬儀が終わったらどこに納骨するの?

お墓がなければ購入を検討

「累代墓」(るいだいぼ)あるいは「家墓」(いえはか)「代々墓」(だいだいぼ)といわれる先祖代々のお墓や、故人が生前に購入していたお墓に納骨することになりますが、お墓がない場合は、新しくお墓を購入することを検討します。

このとき、希望の霊園や墓地に空きがあるとは限りませんので、妥協が必要になったりいつまでもお墓が決まらないといった事態になる可能性もあります。

四十九日までに納骨が一般的

お墓を購入する場合、骨壺はお墓が準備できるまで自宅で保管する、あるいはお寺や納骨堂に一時的に預けておけるサービスの利用も可能です。

「いつまでに納骨しなければならない」という決まりはとくにありませんが、一般的には四十九日にあわせて納骨されることが多いとされています。

お墓は生前購入が可能

お墓は生きている間に予約購入することができます(生前購入)。生前購入することで、自身でお墓を選ぶことができ、残された家族がお墓の購入で困ることがなくなります。

また、お墓を購入する費用としてお金を残すと相続税がかかりますが、購入したお墓に相続税には相続税がかかりませんので、お墓を生前購入しておくことは「相続税対策」になります。

安いのは永代供養

いわゆる「お墓」には、墓地の使用料として永代使用料と墓石代、それに霊園や寺院墓地の年間管理費がかかります。

永代供養であれば、骨壺を安置するタイプで20万円~200万円程度、他の遺骨と一緒に埋葬される合祀(=合葬)タイプであれば、10万円程度で可能な場合もあり年間管理費はかかりません。

増えている「永代供養」という供養の仕方

葬儀も滞りなくおこなわれ納骨が終わっても、お墓の管理と供養は続きます。

近年は、「子どもに迷惑をかけたくない」「次の継承者がいない」といった理由で、お墓を購入せず永代供養墓を選んだり、継承されてきたお墓の「墓じまい」をおこなう人が増えています。

お墓を持ち続ける限り、お墓の掃除や管理費用を負担しなければなりません。また、お墓がある場所は寺院墓地か霊園になりますが、寺院墓地の場合、お寺に属してお布施でお寺を支援する「檀家」の務めも引き継ぐことになります。年忌法要の日程調整や準備、おこなうかどうかの判断もしなければなりません。

また、継承者が途切れる可能性がある場合は、お墓の継承ができないという問題が発生します。

このようなとき、一般墓以外の供養の仕方を検討することになります。

一般墓以外の供養の仕方

寺院や霊園が管理や供養をおこなう永代供養

永代供養とは、「永代供養料」といった必要な料金を最初に支払うことで、寺院や霊園が永代(長い年月)に渡って遺骨の管理や供養をしてくれる供養方法です。

どのくらいの期間かは、十七回忌、三十三回忌、五十回忌までなど、管理する寺院や霊園によって異なります。

お墓を管理する人がいなくなっても供養する人がいない「無縁仏」になることはなく、お墓参りも自由にできて檀家になる必要もありません。

このような永代供養をおこなうお墓が「永代供養墓」です。永代供養では寺院や霊園がお盆や春と秋のお彼岸といったタイミングで供養がおこなわれますが、意向があれば法事をおこなうことも可能です。

墓石の代わりに樹木を植えて供養する「樹木葬」にも、「永代供養プラン」がつけられる場合があります。

そのほか、お墓ではありませんが永代供養をおこなう施設として「納骨堂」があります。納骨堂は本来、ご遺骨を一時的に預けておくための場所ですが、「永代供養プラン」をつけることでお墓の役割をはたす納骨堂も増えています。

お墓を持たない「散骨」と「手元供養」

そのほか、細かく砕いた遺骨を故人の思い入れのある土地の海や山にまいて、死者を送り出す「散骨」があります。

散骨はどこにしてもいいわけではなく、条例によって禁止している自治体もあるため、専門の散骨業者に依頼することをおすすめします。

また、遺骨を小さな骨壺やペンダントに入れて身近なところで管理する方法として、「手元供養」(=自宅供養)があります。全ての遺骨を自宅で保管することもできますし、お墓や納骨堂などに納骨し、一部を分骨して手元供養とすることも可能です。

なお、今ある一般墓の供養方法を変更することもできます。

今あるお墓の供養方法の変更も可能

すでに累代墓があるものの、お墓が遠くて管理が負担になる場合は、お墓の引っ越しが可能です。その場合は今の墓石の解体・撤去をする「墓じまい」をおこない、新しい地に移す「改葬」をおこなうことになります。

その際、遺骨と墓石を移す、遺骨だけ移す、いくつかの遺骨を移す、といった複数の方法がありますが、改葬先によって墓石を持ち込めない場合もあるため、条件や手間を考えて方法を選択します。

また、永代供養墓や樹木葬、納骨堂への改葬もできますので、継承者がいない場合や子どもへの継承がむずかしい場合は、改葬という選択肢があることも知っておいてください。

ドラマで見る「遺産相続」が現実のものに

遺産相続というと「お屋敷の主人が亡くなって、残された家族でその土地やお屋敷、莫大な遺産をめぐって骨肉の争い」などドラマや小説の中の話のようですが、遺産相続はお金持ちに限って発生するものではありません。

貯金が少しでもあったら遺産相続は発生します。

遺産は誰がどのくらい相続するの?

遺産相続をするには、相続人と相続財産を確定する必要があります。故人が遺言書を残していた場合、公的な効力がある遺言書にしたがって財産の分割がおこなわれます。そのため、まずは遺言書があるかどうかを確認します。

遺言書を勝手に開封すると罰金

遺言書には3種類ありますが、「自筆証書遺言」と「秘密証書遺言」は家庭裁判所で確認してもらう(検認する)必要があり、勝手に開封すると5万円以下の罰金が課せられるので注意が必要です。

※令和2年7月より「自筆証書遺言の保管制度」で法務局で保管が可能に。

遺言書がなければ「遺産分割協議」

遺言書がない場合には「遺産分割協議」がおこなわれます。

遺産分割協議は、誰が何をどのくらい相続するかを決める話し合いですが、相続人になれる人は「法定相続人」といい、民法で決められています。また、相続する順位も、配偶者、故人の子どもや孫、親や祖父母、兄弟姉妹と故人に近い順で決まっています。

さらに、各相続人ごとに相続する割合も「法定相続分」として定められています。

そのため、遺産分割協議では「法定相続分」をベースに遺産を分割していくことが一般的ですが、相続人全員が納得すれば分割割合は自由に決めることができます。

遺産分割協議では「遺産分割協議書」を作成します。自動車や土地・建物の不動産を相続する場合は、故人から相続人へ名義変更する必要があり、遺産分割協議書はその際に必要になる重要な書類です。

遺産分割協議の注意点としては、相続放棄をした人以外の全員が揃った状態でおこなわれる必要がある点です。

あとから相続人が他にいることが分かった場合はやり直しになりますので、法定相続人において離婚訴訟がおこなわれているなどがあれば、その結果を待つことをおすすめします。

借金といった「マイナス」の遺産があったら

遺産に含まれるものには、土地・建物・自動車・現金・預貯金・有価証券があります。

これらの財産の価値について、国税庁が定めた「財産評価基本通達」に則って評価し、遺産の総額を算出します。土地・建物の不動産については、それらを換金した際における価値ではなく、国税庁が定めた評価方式で評価がおこなわれます。

また、財産というとプラスになるものを思い浮かべがちですが、返済中のローンや借金も財産に含まれます。

相続するには3つの方法がありますので、プラスとマイナスの財産の状況によって、いずれかを選びます。

相続放棄は、親が死亡してから3カ月以内に、家庭裁判所で手続きをする必要があります。

また、遺産を相続するにあたっては、遺産の総額によって「相続税」がかかります。

相続税の申告は10カ月以内に

相続税は、故人(被相続人)が亡くなった際の住所地を管轄する税務署に、死亡した日の翌日から10カ月以内に申告しなければなりません。申告をおこたり支払わないと、「延滞税」や「無申告加算税」が発生してしまいます。

ただし、国税庁の「令和元年分相続税の申告事績の概要」によると、令和元年の相続税の課税割合は8.3%で1割にも満たず、遺産を相続しても相続税を支払わなくてよいケースの方が多くなっています。

相続税の支払いが不要なケース

遺産総額が3,000万円以下

遺産の総額が3,000万円以下の場合は相続税の支払いは不要で、申告する必要がありません。

相続税の支払い不要分は「基礎控除」にあたりますが、基礎控除額は法廷相続人の人数によって変動し、法定相続人が一人増えるごとに600万円ずつ増えていきます。

基礎控除額 = 3,000万円+(法定相続人の数×600万円)

配偶者が相続した遺産

配偶者が相続する分については、下記のいずれか多い金額までであれば相続税がかかりません。これは配偶者控除(税額軽減)という制度になります。

相続税の問題は、一般的には父親が死亡したときと母親が死亡したときに起こるものです。一度目の相続(一次相続)の相続人は「配偶者と子ども」、二度目の相続(二次相続)の相続人は「子ども」になりますが、配偶者控除がつかえるのは一次相続のときのみです。

また、二次相続では相続人が減ることで基礎控除額は少なくなる一方で、相続財産額の増加にともない相続税は大きくなるため、二次相続のことまで考えて遺産分割をおこなうことがおすすめです。

配偶者控除は相続税を申告しないと受けられないことも、知っておかなければなりません。

相続放棄や相続税の申告には期限があります。預貯金の口座がいくつあるかがわからなかったりすると財産の把握に時間がかかりますが、「財産目録」をがあればスムーズです。親が元気なうちに作成してもらうことをおすすめします。

手続きは専門家に依頼することが可能

遺産相続においてトラブルが発生したら弁護士に、相続税の申告が生じる場合は税理士に、相続した遺産の名義変更は司法書士に、といったようにそれぞれの状況に応じて専門家へ相談、あるいは手続きを依頼することができます。

費用が発生しますが、自分で手続きをするのには不安がある場合は専門家に対応してもらうと安心です。

国から受け取る給付金の手続きも忘れずに

家族が亡くなると国から受け取れる給付金がありますので、必要箇所に書類提出をおこない手続きをおこなってください。

葬祭費・埋葬料

国民健康保険や健康保険の被保険者だった場合は「葬祭費」(国民健康保険)と「埋葬料」(健康保険)を受け取ることができます。 埋葬料は、故人が被保険者あるいは被扶養者であった場合は5万円、葬祭費は市区町村ごとに異なり1万円~7万円程度です。

葬祭費は市区町村にて葬儀と埋葬の領収書をもって手続きし、埋葬料は、健康保険組合か全国健康保険協会に火葬許可証あるいは死亡診断書を提出することで申請します。

健康保険の過誤納金

故人が国民健康保険に加入していた場合、払い込んでいた先々の保険料が戻ってきます。

自治体に「資格喪失届」と「過誤納金還付請求書兼振替依頼書」を提出すると指定口座に振り込まれます。

高額療養費

国民健康保険・社会保険において、1カ月間に支払った医療費が、自己負担限度額を超えると払い戻しがおこなわれます。

社会保険であれば、会社の人事部か全国健康保険協会、国民健康保険であれば自治体で手続きします。手続きには、病院の領収書、保険証、振込先がわかる預金通帳や故人と申請者の関係の分かる戸籍謄本が必要です。

介護保険サービス利用料

介護保険は、サービス利用料に上限があるため上限額を超えた場合は払い戻されます。超えている場合は市町村から通知が届きます。

未支給分の年金

故人が年金受給者の場合、故人が死亡した月の分まで支給され、生計を一緒にしていた遺族が受け取れます。

年金事務局に死亡を確認できる死亡届といった書類と未支給年金請求書を提出します。

ご相談は何度でも無料