花祭壇の種類や代表的な花と通夜・葬儀・告別式後の花の活用方法
祭壇に生花を飾る意味や、様々な花祭壇の種類について知りましょう。代表的な使われる花や、花選びの際の注意点も学べます。
花を供える伝統や魂を敬うことに興味のある方にはぜひご覧ください。
祭壇とは
祭壇は、葬儀会場の正面に設けられ、故人を供養する場所となる壇のことを指します。遺影写真や供物を飾り、故人を思い出しながら供養することが主な目的とされています。
祭壇は昔は白木で組まれたものが一般的でしたが、現在は生花で送る花祭壇が人気となっています。祭壇の種類は宗派によって異なりますが、様々な形の祭壇が存在します。
また、葬儀の形が多様化する現代においては、より多くの人々が生花祭壇を選ぶようになっています。
祭壇に生花を飾る理由
生花で故人の一生を表したい
生花を使って故人の一生を表すことは、まさに美しい記念と言えます。生花は、育てられた環境や性格を表すことができます。
例えば、大きな桜の枝を飾ることで、故人の強さや優しさを表すことができます。
また、落ち着いた和の雰囲気を表す竹林を使ったり、故人の好きだったものを花の配置で描くこともできます。
さらに、生花は仏教的な意味も持ちます。辛い環境でも耐えて花を咲かせることは、人間が仏様に誓いを立てながら修行する姿を表しています。
生花の飾り方は、故人を思い出すことを強くするだけでなく、その人の意味を引き出すこともできます。
遺族の思いを表したい
遺族の想いを表すことは、葬儀で重要な役割を持ちます。生花は、その一つの方法として現れます。
花言葉を利用して、遺族の想いを伝え、また故人への追悼の気持ちを象徴することができます。
特に、故人が好きだった花や、花言葉を表す花を祭壇に飾ることで、遺族の想いが深く感じられる祭壇を設けることができます。
遺族は手を合わせて、故人との思い出を思い起こすことができ、また故人と話をしているような気持ちになります。
生花は、葬儀において重要な役割を果たすものであり、遺族の想いを伝える手段として活用することができます。
花祭壇の種類
生花の花祭壇
生花の花祭壇は、生花を使って作られた祭壇の総称です。この花祭壇は現在、白木祭壇と並び、スタンダードな祭壇とされています。
生花祭壇の大きなメリットは、宗教色がないため、様々な宗派の方が利用することができることです。
生花祭壇は当初、ライン祭壇と呼ばれ、菊の花で模様を作るといった形が主流でしたが、現在では様々な生花を飾ることができます。
生花祭壇のメリットは、生花の存在そのものです。
生花のメリットには、葬儀中に本物の花の香りを感じることができ、故人に祭壇の花を手向け柩を飾ることができ、参列者が花を持ち帰り、家でも故人をしのぶことができるといったものが挙げられます。
しかし、生花は葬儀の度に新しいものを準備するため、白木祭壇や造花の祭壇に比べて費用がかかってしまうことがデメリットといえます。
故人が生前好きだった花や思い出のある花などを飾り、故人のためだけにあつらえた特別な祭壇を作ることが可能です。
生花の花祭壇は、故人と家族の思い出を形にすることができる素晴らしい選択肢です。
造花の花祭壇
造花祭壇は季節や予算に関わらず故人や遺族の好きな花を準備でき、生花の祭壇よりも費用が安いメリットがあります。
しかし、造花によっては祭壇が安っぽい雰囲気になってしまうこともあり、実際に確認することで良い祭壇が選べます。
また、造花祭壇では花を手向けたり持ち帰ったりすることはできません。生花祭壇と比べ、制約が少ない特徴がありますが、代わりに花に関する持ち帰りや手向けなどの機能が利用できません。
折衷祭壇
折衷祭壇は、白木祭壇に生花などを組み合わせた祭壇のことを指します。
白木祭壇の厳かな雰囲気に、生花の華やかな見た目を加えることで、豪華な祭壇となります。しかし、白木祭壇に生花を加えるため、費用も高くなることがあります。
そのため、葬儀社によっては、供花として贈られた花を祭壇に組み込んで、出費を抑えながら祭壇をより良いものにするサービスも提供されています。
遺影写真や棺を囲む祭壇
最近は、小規模な家族葬が増えており、故人の遺影や棺を囲む祭壇を生花で飾るニーズも増加しています。
家族葬を選ぶ理由として、高価な祭壇は必要ないという考えや、故人にお花を飾ってあげたいという思い、故人の好きだった花などを飾ることができるアレンジの自由度の高さなどがあります。
小規模な祭壇は大型の祭壇と比べて棺との距離も近く、故人のすぐそばでお別れができるメリットもあります。
花祭壇で利用される代表的な花
菊
菊は日本で長く愛されている花で、国花としても知られています。特に葬儀では白い菊がよく使われ、その花言葉は「真実」とされています。
菊は皇室の紋章にも使われており、長持ちすることから他の花と合わせやすく、高貴な印象を与えてくれます。
また、花祭壇には白い菊がよく使われ、故人のご遺族に安らぎを与える効果もあるとされています。
菊は黄色や赤色など色々な種類があり、「破れた恋」「あなたを愛しています」などの意味を持つものもあります。
百合
百合は、白菊に次いで使われている花の一つです。花言葉は「純潔」「無垢」「威厳」とされ、キリスト教では聖母マリアを象徴する花とされています。
百合は葬儀に格式を添える一方で、礼服に付いてしまうと落ちにくい性質があるため、おしべ先端の花粉のある部分を処理することが多いと言われています。
日本だけでなく、世界各国からも愛されている百合は、キリスト教や神式の葬儀に使用されます。
白い百合だけでなく、淡いピンクの百合なども花祭壇に使用されており、また仏壇に飾る花や棺の中に入れる花としても選ばれます。
カーネーション
カーネーションは色の種類が多彩な、フリルのように幾重にも重なった花弁が華やかな花です。
白いカーネーションには「純潔の愛」「尊敬」「あなたへの愛情は生きている」といった花言葉があります。
特に亡くなった母を偲ぶイメージがあることから、母の日にプレゼントすることが多いとされています。
また、花祭壇に華やかさを加えたい場合にも活躍することで、愛する人への想いや追悼の気持ちを伝えるために人気の花です。
蘭
蘭は高貴で優雅な印象を持つ花で、花言葉には「美しい淑女」「優雅」といったものがあります。
蘭は抜けるような白色が美しいことから、花祭壇にメインに据えられることが多いです。また、故人の棺に手向ける献花としてもよく用いられます。
蘭は西洋風の印象もあることから、仏式の葬儀以外でも適切な花となります。
さらに、蘭はウエディングや開店祝いなどのお祝いごとに多く使用され、高貴なイメージを持つことから贈る花としてよく目にします。
蘭にはいろいろな種類があり、「幸福が飛んでくる」「清純」「あなたを忘れない」といった優しい意味をもつものもあります。
種類によっては厳粛な雰囲気をイメージさせるものから、遊び心をイメージさせるものまで、バリエーションが豊富なため、花祭壇に用いられることも多い花となっています。
花祭壇で利用する花選びの注意点
日蓮正宗の葬儀では樒以外の植物は利用されないことが多い
日蓮正宗の仏事においては、生花以外の植物としては樒が最もよく利用されます。樒は、冬でも鮮やかな緑色を保つことから、さまざまな宗派で導入されています。
例えば、真言宗の空海を始め、浄土真宗や日蓮正宗などです。
日蓮正宗では、仏壇やお墓に生花ではなく、樒を供えます。一方、浄土真宗では水を入れた華瓶に樒を挿し、仏壇に供えるのが定番です。
また、日蓮正宗や創価学会においては、生花の代わりに樒だけを仏壇やお墓に供えることもありますが、他の宗派でも樒だけを供えることはあります。
生花は絶対に備えなければならないというものではありません。
神式の葬儀では榊を利用する傾向がある
神式の葬儀では、榊が非常によく利用されます。これは、「境の木」「栄える木」「神聖な木」といった特殊な意味があるためです。
榊はツバキ科のサカキ属に分類されますが、実際には「サカキ」と「ヒサカキ」に分けられます。
「サカキ」はサカキ属に分類されますが、「ヒサカキ」はヒサカキ属に分類されます。後者は「姫榊」とも呼ばれます。
榊は、こぢんまりとした白い花を咲かせます。一方、樒は「梻」とも書かれますが、「主に仏教で使われる樒には木へんに佛(仏の旧字)があり、神事に使う榊には木へんに神がある」という言い伝えもあります。
しかし、実際には神事にも樒が使われたことがあります。現在でも京都の愛宕神社などでは、樒を神木として神事が行われています。
キリスト教式ではカーネーションを利用する傾向がある
キリスト教式の葬儀においては、献花にカーネーションやユリ、白い菊などが利用される傾向があります。
これらは、故人が好んでいた花やキリスト教との縁の深い花、聖母マリアを象徴する花として用いられます。
遺族が用意することが一般的であり、参列者が持参する必要はありません。また、献花は日本独自の文化であり、そのことから白い菊も献花に多く用いられています。
創価学会は、樒を利用する傾向がある
創価学会は、故人を祝う儀式において樒を利用する傾向があります。
これは「一生成仏抄」に記載されている「仏の名を唱へ経巻をよみ華をちらし香をひねる」という文章に基づいていますが、この表現によって意図されていることは推測されます。
一般的な葬儀では菊を中心に故人が好きだった花や季節の花を飾りますが、創価学会では白い花である樒を加えて祭壇を飾ることが一般的です。
これは創価学会に信仰する人々が、御本尊への感謝の気持ちを形に現すことができると考えられているからです。
花祭壇の選び方とポイント
故人の好きな花やデザインを選ぶ
故人に対する思い出や想いを込めて、葬儀での飾り花の選び方が変わってきています。
昔は白い花(菊や百合など)が慣例となっていましたが、現在では故人の好きな花、好きな色、思い出の花などが選ばれることが多くなりました。
故人のイメージに合ったデザインを取り入れるのもよいアイデアですし、故人と遺族の思い出の花を飾って別れを偲ぶことも可能です。
また、最近ではトゲのある花(薔薇など)も葬儀に向いているとされるようになりました。
仏教においては淡い色や落ち着いた色が一般的ですが、洋花(ピンクや赤など)も選ばれる場合もあります。
祭壇にモチーフを描く場合は白い菊でラインを描く手法も用いられます。
予算を考えて選ぶ
予算を考えて選ぶという見出しの下で、祭壇にかかる費用は葬儀に占める大きな割合であることが述べられています。
祭壇の種類によって予算が異なります。白木の祭壇はレンタルが多く、数十万円のレンタル費がかかります。
花祭壇は生花か造花かによって料金が異なり、造花より生花の方が高いという一般的な傾向があります。
従来型の白木祭壇に生花を飾るスタイルよりも、生花祭壇のみで用意する方がコストを抑えられます。
故人を美しい花祭壇で送りたいという方には、花祭壇の費用に気をつけることが必要です。
花祭壇の大きさやお花の種類によって費用が大きく異なりますが、葬儀にかかるトータルの費用を決めて確保した上で花祭壇を決めることで、予算内に納めることができます。
生花祭壇の費用相場
生花祭壇の費用相場は、10万円から80万円まで変わります。一般的な生花祭壇の平均相場は20万円から60万円ですが、白木祭壇よりも高くなることもあります。
価格を決定する要因は、祭壇のサイズです。祭壇の横幅が長いほど、高くなりますし、高さが高いほど高くなります。
また、装飾用の生花の数も価格に影響を与えます。装飾用の生花の場合、祭壇とは異なり安価になりますが、2万円から15万円となります。
通夜・葬儀・告別式後の花祭壇の花の行方
棺の中にお供えする
生花は故人への最後の挨拶となります。家族や友人たちの手で故人の棺に素敵な花を入れることが一般的です。
茎を取り、棺に花を積み重ねることで、故人を花で包み込み、最期に愛を送ります。
また、祭壇から抜き取られた花も棺の中にお供えすることが一般的で、これを「お別れ花」と呼びます。
最期の時間に、自分の手で故人への愛を託すことができる、とても貴重な瞬間となります。
出棺後花束にする
葬儀社によっては、出棺後花束にするサービスを実施している場合もありますが、実施していない場合でも事前に相談することで花束にしていただけるところもあるようです。
また、花束にしてお渡しすることもできますので、自宅へ持ち帰りたい、または参列された方へ配りたいというご家族様は、葬儀社にお申し付けください。
花祭壇についてよくある質問
祭壇に生花を飾る理由を教えてください
生花を使って故人の一生を表すことは、まさに美しい記念と言えます。生花は、育てられた環境や性格を表すことができます。例えば、大きな桜の枝を飾ることで、故人の強さや優しさを表すことができます。また、落ち着いた和の雰囲気を表す竹林を使ったり、故人の好きだったものを花の配置で描くこともできます。
花祭壇の種類を教えてください
生花を使って作る祭壇と造花を使って作る祭壇、白木祭壇に生花などを組み合わせた祭壇があります。最近は、小規模な家族葬が増えており、故人の遺影や棺を囲む祭壇を生花で飾るニーズも増加しています。
花祭壇で利用される代表的な花を教えてください
日本で長く愛されている花で、国花としても知られている菊、白菊に次いで使われている「純潔」「無垢」「威厳」という花言葉を持つ百合、フリルのように幾重にも重なった花弁が華やかなカーネーション、「美しい淑女」「優雅」という花言葉をもつ蘭が利用されます。