香典の相場・表書きについて解説
相場や表書きなど、香典にまつわるマナーについて、香典の金額の目安から名前の書き方、中袋の書き方、渡し方まで詳しく解説しています。
また、香典が辞退された場合の対処法についても説明しています。
香典とは
香典とは、ご葬儀で故人様の霊前に供える贈り物のことを指します。
古来から故人を供養するためにお香を持参する風習がありましたが、時代が進み、物の受け渡しがなくなり、多額の費用がかかるようになりました。
そこで、今ではお花や線香の代わりに金銭を贈る形が一般的になっています。香典は相互扶助の考えも持つもので、喪家の急な出費を減らすためにも役立っています。
江戸時代にはお線香が作られ、お香の代用品として使われるようになりましたが、それが今の香典の始まりとなりました。
また、香典は「香奠」とも呼ばれ、故人の縁者が遺族に食料で援助する意味を持つ字が用いられています。
香典金額の目安
両親の場合の香典金額
香典金額は両親や配偶者の父母に出す場合と自分が喪主や葬儀費用を負担する場合で異なります。
自身が喪主の場合や葬儀費用を負担する場合は香典を包む必要はありません。
両親や配偶者の父母に出す場合は、20代から60代までの目安となる金額があります。
20代は約30,000円から100,000円、30代は約50,000円から100,000円、40代は約50,000円から100,000円、50代は約50,000円から100,000円、60代は約100,000円です。
兄弟が多い場合は、喪主を担当する人と金額を相談すると良いです。
祖父母の場合の香典金額
祖父母に対する香典金額について、複数の要素を考慮する必要があります。
同居していたかどうか、親に扶養されている未成年かどうかが大きな判断基準となります。
同居している場合や親に扶養されている場合は香典を包む必要はありませんが、孫夫婦からの場合は相場に合わせて10,000円以上の金額を包むことが一般的とされています。
年齢も金額に影響を与えますが、20代から60代まで目安となる金額があります。
兄弟姉妹の場合の香典金額
香典金額は配偶者の兄弟姉妹に対しても同じ金額が目安です。
家族が同居している場合は相場に上乗せすることもありますが、両親よりは香典額が少ない額に調整することをお勧めします。
年齢によって香典額は異なります。20代は約30,000円から50,000円、30代は約50,000円、40代は約50,000円、50代は約50,000円、60代は約50,000円から100,000円となります。他に兄弟姉妹がいる場合は相談することをお勧めします。
叔父・叔母の場合の香典金額
叔父・叔母への香典の金額は、生前の間柄によって異なります。生前の間柄が良好であった場合は、相場が高くなります。
年齢にも関係していますが、20代では5,000円から10,000円程度、30代では10,000円から30,000円程度、40代では10,000円から30,000円程度、50代では30,000円から50,000円程度、60代では50,000円から100,000円程度となります。
交流のあまりない場合は10,000円程度となることが多いようです。関係性に応じて、金額を適切に決めてください。
親戚の場合の香典金額
親戚の場合の香典金額について考えましょう。親戚には、兄弟姉妹のような近い関係の人もいれば、叔父・叔母のような遠い関係の人もいます。
兄弟姉妹には、約50,000円が目安ですが、遠い親戚には、生前の関係性に応じて5,000円から10,000円程度が相場となります。
年齢にもよりますが、生前に親しかった関係性に応じて変動します。遠い場所に住む親戚には、香典の送付や弔電の打ち、供花の手配などを通じて、故人への気持ちを伝えることもできます。
職場の場合の香典金額
職場での香典の金額は、故人の役職や自分の立場、相手の親戚などによって変わります。まずは職場の仲間と相談し、連名で香典を包むか個人で包むかを決めましょう。
もし個人で香典を包む場合は、上司よりも高い金額にならないように注意が必要です。上司や同僚の家族などに香典を包む場合には、年齢別の相場を参考にしましょう。
20代~60代までの相場は、5,000円~30,000円程度となっています。しかし、金額が高いということはよいというわけではありません。
遺族が受け取っても困らないような、多すぎず少なすぎずの金額を選ぶことが大切です。
友人・知人の場合の香典金額
友人・知人の場合の香典金額は、生前に親しかった関係性や年齢によって異なります。
友人については、20代が5,000円、30代・40代が5,000円から10,000円、50代・60代が10,000円となっています。
とても親しい友人の場合は、年齢に関係なく10,000円以上を包むこともあります。
知人については、20代が3,000円から5,000円、30代・40代が3,000円から10,000円、50代・60代が10,000円となっています。
仲が良く親しい関係の場合は、年齢に関係なく約10,000円以上を包むこともあります。一方、最近おつきあいのなくなっていた先生や近所の方など少し縁が薄い場合は、上記が相場になります。
香典袋の下段(表書き)の名前の書き方
4名以上の家族などで香典を出す場合
4人以上で香典を出す場合は、「職場(団体名)一同」または、「職場(団体名)、代表者名、他一同(他〇名)」と記載します。
子どもが十分に大人でお金を出せる場合は、夫の名前を代表者として、他の人の名前を書き添えることもできます。
家族一同で連名を書きたい場合も、未成年やまだ子供であることを明示することが良いです。
しかし、未成年や収入が無い子どもの名前は書く必要はありません。
また、香典に記載した名前に応じて喪主に返される金額が増加するので、お金を出していない人の名前は書かないように注意してください。
白い無地の便箋には全員の氏名、住所、金額をまとめて記載し、香典袋に一緒に入れます。
3名で香典を出す場合
3名で香典を出す場合には、香典袋の表面に全員の名前を書く必要があります。
一番右側には会社名または団体名を記入し、右から目上の人、左に向かって目下の人の順番で書きます。上下関係がない場合は、五十音順で名前を書くと良いです。
会社や団体名で香典を出す場合
会社や団体名で香典を出す場合、代表者名と会社名・団体名を記入することが重要です。
グループ会社など、会社名が異なる場合も考慮する必要があります。そのため、香典袋の中央に代表者名を記入し、右側に会社名・団体名を記入すると親切で良いです。
お香典の中袋の書き方
住所と氏名
住所と氏名は香典袋に記入する重要な項目です。中袋は2枚重ねの香典袋の中にある袋を指し、お金を直接包む封筒としても使用されます。
そのため、正しい書き方を知っておくことが大切です。住所と氏名は中袋の裏面、左下に縦書きで記入します。
郵便番号から始まり、番地、マンション名、部屋番号まで省略せずに記入することが推奨されます。
連名で香典を出す場合は、名前の書き方も異なります。夫婦の場合は夫の氏名を先に記入し、妻のファーストネームを左横に書き連ねます。
団体を代表して出す場合は代表者の氏名の右に団体名を追加します。
3人以下で出す場合は全員の氏名を記入しますが、4人以上の場合は代表者1名のみを記入し、「外一同」と追記し、出し合った人の名前は別紙に記載することが推奨されます。
包んだ金額
中袋に金額を書く場合、縦書きで旧字体の漢数字(大字)を使用し、「金」を頭に付けます。中袋表面の中央に金額を書き、「金 ○圓也」と書くのがマナーです。
例えば、5,000円を包んだときは「金 伍仟圓也」、3万円の場合は「金 参萬圓也」と書くようにしましょう。
金額を記載する際には、単純な構造の漢数字を用いない方が良い理由として、誤認や改ざんを容易にする可能性があるということが挙げられます。
単純な構造の漢数字で「六万円」を記載すると、「大万円」と誤認されたり、一画を追加するだけで水増しすることができるためです。このような疑念を払拭するために、多くの画数を持つ複雑な構造の大字を用いるのが一般的な慣習となっています。
香典の渡し方
受け付けで渡す場合
香典の受け渡しは、通夜や葬儀・告別式での一般的な流れとして、受付で芳名帳に名前や住所を記入してから受付係に渡すことが必要です。
この際には、「御愁傷様です」などといったお悔やみの言葉を忘れずにかけましょう。また、喪主に直接渡すわけではないので気をつけてください。
不祝儀袋に入った香典は、袱紗をまずは開いて不祝儀袋を取り出し、袱紗をたたんでから両手で渡すように心がけましょう。
当日わからない場合は、前に並んでいる方々に真似すると良いでしょう。
袱紗(ふくさ)につつんで渡す場合
「袱紗」は絹や縮緬で作られた布のことで、婚葬祭で渡す香典や現金を包んで持参する際に用いられます。
香典を渡す際には、袱紗に包まれた状態ではなく、「右手」に袱紗を乗せ、「左手」で開いてから中の袋を取り出して両手で渡すことがマナーです。
袱紗を用意できなかった場合はハンカチを代用することもできますが、備えておくことが賢明です。
香典を辞退されたときの対処法
香典を辞退された場合、弔意を表す方法として弔電や供物、供花などを送ることもできますが、事前に遺族の意向を確認してから送ることが大切です。
特に豪華なお供えなどは、遺族にとって負担となる可能性がありますので、注意が必要です。遺族が送ってもかまわないと確認が取れた場合、送り先を確認しましょう。
一般的に葬儀会場に届けますが、自宅に送ってほしいと言われることもあります。
香典の辞退は故人の遺言やご遺族の意向によります。辞退の理由は様々であり、故人の遺言、会葬者に負担をかけたくない、通夜や葬式を簡略化したい、お礼のお返しが大変などがありますので、ご遺族の気持ちを尊重することが大切です。
香典を無理にお渡しすることはマナー違反となりますので、気をつけてください。
香典についてよくある質問
香典金額の目安を教えてください
香典を差し出す相手が、両親や配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、叔父・叔母、親戚、職場、友人・知人なのかによって、5,000円~100,000円程度と目安となる金額がちがいます。
香典袋はどれを選べばいいか教えてください
どのような宗派でも利用できるのは無地の包み、キリスト教なら十字架付きの包み、仏教なら蓮の絵付きの包みを選びましょう。
香典袋の下段(表書き)の名前の書き方を教えてください
4人以上で香典を出す場合は、「職場(団体名)一同」または、「職場(団体名)、代表者名、他一同(他〇名)」と記載します。3名で香典を出す場合には、香典袋の表面に全員の名前を書く必要があります。会社や団体名で香典を出す場合、代表者名と会社名・団体名を記入することが重要です。