「お墓を継ぐ人がいない」「お墓にお金をかけられない」といった理由で選ぶ方が増えている「永代供養」。
日本の仏教は13宗56派にわかれていて、それぞれで大切にする教え(お経)や葬儀・法要のマナーに違いがあります。そして、供養の考え方も異なることがあり、その代表的な宗派が浄土真宗で、「浄土真宗では永代供養がない」といわれます。
しかし、浄土真宗の信徒の方でも、いわゆる一般的なお墓を建てる予定がない場合もあるでしょう。また、自宅近くで永代供養したいものの、近くの寺院が浄土真宗であるといった場合に、浄土真宗の寺院に納骨する方法を紹介します。
浄土真宗には永代供養がないといわれる理由
浄土真宗では「供養」をおこなわない?
浄土真宗以外の宗派では、人が亡くなると未練を残さず仏さまになれるように周忌法要・年忌法要、永代供養といった追善供養をおこないますが、浄土真宗は人が亡くなると阿弥陀如来の力ですぐ成仏できるという考えから追善供養(永代供養)はおこないません。
浄土真宗は位牌も不要
故人を供養する対象として故人の魂が宿るとされる位牌がありますが、位牌を安置することも追善供養となるため、浄土真宗の教えとしては位牌は不要となります。
浄土真宗はお墓がいらない
浄土真宗の考え方はほかの宗派とちがって、亡くなったあとすぐに成仏して浄土に行くと考えられているため、お墓には故人の魂が宿らないとされています。
自宅でご遺骨を保管して故人を供養する手元供養、霊園・寺院が遺骨を管理・供養する永代供養、遺骨を粉末にして山や海に撒く散骨という選択を取られるかたが増えてきています。
一方で、お参りをおこなうことで故人・ご先祖様に感謝の気持ちを伝える、故人と過ごした懐かしい気持ちを思いだす場所としてお墓を建てられるかたもいらっしゃいます。
永代供養とは異なる浄土真宗の永代経とお布施
浄土真宗には永代にわたってお経を読む「永代経」(えいたいきょう)、正式名称「永代読経」があります。
永代供養と似ている言葉ですが、永代供養と永代経は異なります。永代供養は、寺院・霊園が故人の家族に代わって管理・供養をおこなう供養方法ですが、永代経は永代にわたって読まれるお経のことです。
永代経というお経があるのではなく、先祖代々受け継いできた仏教の教えを受け継ぎ、そして未来に伝えるためにお経を読み上げることを指します。
浄土真宗におけるお経は、生きている自分たちのために、仏さまの教え(お経)が永代にわたって存続・繁栄することを願って読むもので、故人が安らかになることを願って故人のために読むものとする他の宗派とは異なるといえます。
ただし、故人を偲んで法要をおこなうことがNGではありません。たとえば、納骨する場合や年忌に法要をおこなう場合は、寺院にお布施(永代経懇志)をお支払いして、お経を読んでもらうことになります。
浄土真宗の永代経のお布施は3~5万円・表書きは「お布施」
浄土真宗の永代経のお布施(永代経懇志)の金額はお寺から指定される場合と指定されない場合があります。平均的な金額は3万円~5万円程度でお寺との付き合いの深さによってちがいます。寺院との付き合いが深いかたが100万円をお布施として寺院に支払うケースもあります。
お布施を包むお布施袋の表書きは、「お布施」あるいは「御布施」で問題ありません。
浄土真宗にもある継承者が不要なお墓
永代供養をおこなわない浄土真宗ですが、浄土真宗の寺院にも、永代供養墓と同じように寺院が管理するため継承不要のお墓はあります。
他の宗派でおこなう永代供養との違いは、供養という概念がないという点です。
永代供養墓と一般墓との違い
1つの区画に家族ごとの墓石を建てるいわゆる一般墓は、お彼岸やお盆、人生の節目などのお墓参りをするタイミングで、お墓まわりの掃除・墓石磨きをして墓石をきれいに保つ必要があります。また、寺院・霊園に対して年間管理費の支払いが発生し、代々受け継いでいくものです。
一方、永代供養をおこなうお墓「永代供養墓」は、寺院・霊園が故人の家族に変わってお墓の管理や供養をおこなうため、お墓を家族に引き継ぐ(継承する)必要がありません。
そのため、お墓を残すために生じる費用や手間の負担が軽減されます。
遺骨は納骨後すぐに家族以外の方の遺骨と一緒に納骨される(合祀)、あるいは一定期間他の遺骨と一緒になることなく個別に安置された後に、合祀されることがほとんどです。
このように身内以外の方の遺骨と一緒に納骨されるお墓は合祀墓(ごうしばか・ごうしぼ)や合葬墓(がっそうはか・がっそうぼ)といわれ、浄土真宗にも合祀墓があります。
合祀墓は寺院が管理するため、遺された家族が管理し続ける必要はありません。
継承者不要の浄土真宗の合祀墓と永代供養の違い
永代供養では合祀墓に納骨されたあと、故人を供養するためにお経が読まれます。一方、浄土真宗では生きている人のために読まれるため、一般的な永代供養との違いはお経を読む目的といえます。
浄土真宗の教義にのっとってお経が読まれることを了承すれば、宗旨宗派に関係なく納骨を受け付ける寺院を選ぶことで、無宗教あるいは浄土真宗以外の宗派の方でも納骨することができます。
浄土真宗で墓の継承者がいない場合は合祀墓を選ぶ
今あるお墓を撤去することを墓じまい、撤去したお墓、もしくは納骨されていた遺骨を別の場所に移すことを改葬といいます。浄土真宗の寺院で代々受け継いできた一般墓は墓じまいして改葬することはできます。
墓じまいの費用には、墓から遺骨を取り出す作業料、遺骨を取り出すときに浄土真宗の僧侶の読経(閉眼供養)のお布施、檀家をやめるときに支払う離檀料、遺骨の移送料、お墓の解体・撤去工事費用があって、50万円~100万円程度かかります。
改葬の費用には、墓じまいの費用とあわせて納骨料、お墓の建設費、土地の永代使用権の料金が200万円程度かかります。
なお、墓じまいにかかる費用は一般的に50万円~100万円程度といわれています。
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継承者不要なお墓がある浄土真宗の寺院
浄土真宗各宗派の本山で本山納骨ができる寺院
各宗派を統轄する寺院を本山といい、本山に納骨することを本山納骨(ほんざんのうこつ)といいますが、とくに浄土真宗は本山納骨の習慣が知られています。
浄土真宗は10派にわかれていますが、それぞれに本山があります。
本山納骨は、浄土真宗を開いた親鸞の墓所がある寺院に納骨できるため、信仰心が強かったり、経済的にお墓が建てられない方の納骨を受け入れてきました。
西日本には、経済的な理由によらず本山納骨を希望する方も多くいます。また、近年はお墓を持ちたくない方やお墓の改葬先として本山納骨を選ぶ方も増えている傾向です。
本山納骨は、基本的にその宗派に属している方の納骨を目的としているため、無宗教の方が納骨を希望する場合は、「檀家になる必要がある」といった条件があるのかどうかを、確認することをおすすめします。
| 寺院名 |
エリア |
最寄駅 |
費用 |
本願寺派 西本願寺 |
京都市下京区 |
清水五条駅 |
3万円~(永代経は費用別途) |
真宗大谷派 東本願寺 |
京都市下京区 |
五条駅 |
4万円~(永代経含む) |
真宗高田派 専修寺 |
三重県津市 |
津駅 |
2万円~(永代経は費用別途) |
真宗興正派 興正寺の霊山本廟 |
京都市東山区 |
五条駅 |
6万円~(永代経含む) |
真宗木辺派 錦織寺 |
滋賀県野洲市 |
野洲駅 |
2万円~(永代経は費用別途) |
真宗出雲路派 毫摂寺 |
福井県越前市 |
武生駅駅 |
要問合せ |
真宗誠照寺派 本山誠照寺 |
福井県鯖江市 |
西鯖江駅 |
要問合せ |
浄土真宗の合祀墓がある寺院と納骨費用
本山以外でも、合祀墓がある浄土真宗の寺院は全国に複数あり、宗旨宗派不問とする寺院であれば、浄土真宗の信徒でなくても納骨可能です。
なお、冒頭で浄土真宗には永代供養がないとお伝えしていますが、「永代供養」の考え方が広がってきているため、なかには浄土真宗でも「永代供養」の名称でお墓を案内する寺院もあります。
下記でいくつか寺院を確認しますが、費用は寺院によって異なり5万円~80万円と費用帯に幅があり、永代経を含む寺院、年間管理費が別途かかる寺院など、費用に含まれるものは寺院によって異なります。
| 寺院名 |
エリア |
最寄駅 |
納骨費用 |
本願寺派 聞乗寺
|
埼玉県上尾市 |
東大宮駅 |
50万円 |
本願寺派 築地本願寺
|
東京都中央区 |
築地駅 |
30万円 |
本願寺派 善福寺
|
神奈川県南足柄市 |
足柄高校前バス停 |
15万円 |
本願寺派 福泉寺
|
山梨県甲州市 |
勝沼ぶどう郷駅 |
15万円 |
本願寺派 紫雲山専願寺
|
岐阜県岐阜市 |
岐阜駅 |
5万円 |
本願寺派 本願寺名古屋別院
|
愛知県名古屋市 |
大須観音駅/ 上前津駅 |
10万円 |
本願寺派 津村別院 北御堂
|
大阪府大阪市中央区 |
本町駅 |
5万円 |
本願寺派 本願寺神戸別院 |
兵庫県姫路市 |
花隈駅/西元町駅/みなと元町駅 |
80万円 |
本願寺派 特留山 法親寺
|
岡山県玉野市 |
ハローワーク北バス停 |
10万円 |
本願寺派 金谷山 品龍寺
|
広島市中区 |
広島電鉄8系統(江波行)別院前駅 |
30万円 |
本願寺派 高法寺 |
高知県高知市 |
神田本村バス停 |
25万円 |
本願寺派 宝林山養行寺 |
福岡県福岡市 |
博多駅 |
受付停止 |
真宗大谷派 札幌別院
|
北海道札幌市 |
東本願寺前駅 |
30万円 |
真宗大谷派 金沢教区金沢東別院
|
石川県金沢市 |
金沢駅 |
7万円 |
真宗大谷派 薬光山養泉寺
|
和歌山県和歌山市 |
紀三井駅 |
20万円 |
浄土真宗の歴史と宗派による違い
浄土真宗は、極楽浄土へいくのに厳しい修行や、難しいお経を唱える必要もありません。また、悪人でも自分がおこなった悪行を認め「南無阿弥陀仏」と唱えて仏さま(阿弥陀如来)にすがれば、極楽浄土へ行けるとの教えから、身分の違いにかかわらず多くの人に信仰されてきました。
浄土真宗は鎌倉時代初期に、親鸞(しんらん)(1172年~1262年)にひらかれました。浄土真宗は、法然(ほうねん)(1133年~1212年)がひらいた浄土宗から派生した宗派です。
親鸞は9歳で出家したあと20年間、比叡山で修行しましが、煩悩ばかりで「さとり」を得られず、法然のもとをたずねたところ、「どのような人であれ念仏ひとつで救われる」という教えに出会いました。その後、浄土宗を学んで人々に救いの道について教えを説きました。
しかし、浄土宗は旧仏教教団から激しい非難を浴びて後鳥羽上皇が、南無阿弥陀仏と一心にとなえる専修念仏を停止。法然と親鸞を流罪にします。
親鸞は50歳を過ぎた頃に、法然から学んだ教えを「教行信証」と「高僧和讃」に記しましたが、高僧和讃には、「浄土真宗は法然が開いた教え」とあります。
親鸞は宗派を開く意思はなかったものの、没後に、門弟たちによって親鸞を宗祖とした「浄土真宗」を発展させました。
浄土真宗には、真宗十派といわれるように以下のように10の宗派にわかれています。
本願寺派・真宗大谷派・真宗高田派・真宗仏光寺派・真宗興正派・真宗木辺派・真宗出雲路派・真宗誠照寺派・真宗三門徒派・真宗山元派
なかでも信徒数が多いのが、本願寺派と真宗大谷派で、本願寺派は日本で一番信徒数が多い宗派といわれています。
本願寺派と真宗大谷派の違い
おなじ浄土真宗である本願寺派と真宗大谷派では、大切にする教えは同じですが、お経を読み上げる際の音程や本尊の阿弥陀如来の形、お釈迦さまの称号を唱える「念仏」の唱え方、佛だにゃ仏具の色、焼香の仕方や数珠の巻き方に違いがあります。
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本願寺派 |
真宗大谷派 |
| 阿弥陀如来像 |
・後ろから各方向へ光を放つ船後光(ふなごこう=舟後光)がある
・掛け軸では船後光は8本
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・船後光がない
・掛け軸では船後光は6本
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| 「南無阿弥陀仏」の唱え方 |
なむあみだぶつ |
なもあみだぶつ |
| 仏壇の柱 |
金箔で加工 |
黒塗りに加工 |
| 仏具(香炉・花立て・おりん・ロウソク立て) |
黒色で統一 |
金色で統一 |
| 燭台 |
銅と亜鉛の合金である真鍮に茶色の漆(うるし)をすりこんだ宣徳製(せんとくせい) |
亀の上に鶴が乗っている鶴亀燭台 |
| 焼香の仕方 |
お香を香炉に1回くべる |
お香を香炉に2回くべる |
| 女性の数珠の持ち方 |
二重巻きにして合掌した両手に輪を掛けて房を小指の下に垂らす |
二重に巻きにして房を上に合掌した両手に掛け、左手の側に房を垂らす |