遺体ホテルを利用するメリット・デメリットや利用する流れを解説
近年、都市部で利用する人が増加している遺体ホテルとは何か、遺体ホテルを利用するメリットやデメリット、利用する際の流れについて詳しく解説します。
また、遺体ホテル以外の安置方法についても紹介します。自宅で、遺体の安置ができない方や、遺体ホテルを利用するかどうか迷っている場合は、この記事を読んで参考にしてください。
遺体ホテルとは何か
遺体ホテルとは
遺体ホテルとは、遺体の一時的な保管を目的とした専門の霊安室施設です。
通常のホテルとは異なり、宿泊客は受け入れず、遺体を収容することのみを目的とした施設であることが多いです。
日本では比較的新しい方法で、遺体ホテルが登場したのは数年前のことですが、都市部では遺体ホテルを利用する人が増えてきています。
遺体安置施設との違い
遺体ホテルと通常の遺体安置所の区別は難しいかもしれません。
遺体ホテルが登場する以前は、火葬場、葬儀社、霊安室搬送業者などの葬儀サービス業者が、従来の遺体安置所を運営していました。
これらの施設は通常、遺体を保管するためだけに使用される無機質な空間で、1つの部屋に複数の遺体を収容していました。
そのため、面会時間や方法が制限されることが多く、家族が大切な人とゆったりとした時間を過ごすには不向きな場所でした。
これに対し、遺体ホテルは、遺族が故人と過ごす時間をより快適にすることを目的として誕生しました。
遺体ホテルが増えている背景
遺体安置所ホテルの増加の一因として、火葬場の不足が挙げられます。
都市部では高齢化が進み、火葬場の数が不足しているため、火葬の待ち時間が1週間以上に及ぶこともあります。また、ご遺体を長期間自宅に安置する場合、衛生面でも不安が残ります。
そのため、ご遺体を安置する専用のスペースが必要です。火葬場には専用の遺体安置室がありますが、一般的には火葬前の1日しか預かれず、収容人数にも限りがあります。
また、葬儀社にも遺体安置室はありますが、常に利用できるわけではありません。
そのため、遺体ホテルは、火葬までの遺体安置場所に困っている人たちの避難場所として利用する人が増えています。
遺体ホテルを利用するメリットとデメリット
遺体ホテルを利用するメリット
衛生面で安心できる
冷蔵保管の利用は、遺体全体を適切な温度で均一に冷却するため、遺体の保存や衛生管理に大きな効果を発揮します。
一般的な保管目的でも、棺やドライアイスなどの必要な手配を事前に済ませておくことをお勧めします。
遺体安置所全体を適温に保ち、緊急時には迅速かつ安全に対応できるよう、スタッフへの教育も行われているので安心です。
自宅で安置できない時に有用
遺体ホテルは、自宅に故人を連れて帰ることができない状況でも役に立ちます。
様々な事情で、ご遺体をご自宅に運べない方が増えています。集合住宅の場合、ご近所の方がいらっしゃるため、ご不便をおかけすることがあります。
また、故人が介護施設に入所していて、自宅が無人で荒れ果てている場合もあります。
自宅ではなく、故人を看取れる場所があることは、ご遺族にとって安心材料になります。
家族だけで静かに送ることができる
最近では、家族葬が人気を集めていますが、ご近所の目を気にすることなく、控えめに行いたいという方も多いようです。
自宅で葬儀を行うと、葬儀社のスタッフの行動や車両が嫌でも目に入るため、近隣住民の迷惑になることがあります。
しかし、遺体ホテルを利用すれば、そのような問題を防ぐことができ、プライベートな環境で遺体を安置することができます。
遺体ホテルを利用するデメリット
安置費用が高くなる場合がある
自宅での保管は無料ですが、遺体ホテルを利用する場合は、それなりの費用がかかります。
遺体ホテルは1泊1万円から2万円程度。7日間保管した場合、7万円から14万円となり、費用を安く抑えたい人には高額な出費となります。
自由に面会ができない場合もある
ほとんどの遺体ホテルでは面会時間が限られており、場合によっては予約が必要なこともあります。さらに、面会時の線香やロウソクなどの火の使用にも一定の制限があります。
複数の遺体を一室で安置してる場合もある
ホテルというと個室で構成された施設というイメージがありますが、そうとは限りません。場合によっては、1つの部屋に複数の遺体が保管されることもあります。
一室で複数のご遺体を安置されるのが嫌な方には一度、遺体ホテルのスタッフに安置の仕方を聞くと良いでしょう。
遺体ホテルを利用する際の流れ
遺体搬送車を手配する
大切な人が亡くなった後、ご家族は搬送車の手配をする必要があります。葬儀社や運送会社は、ご遺体をどこに搬送してほしいか尋ねてきます。
その際、自宅ではなく、遺体ホテルや霊安室を希望することを明記することが大切です。
ご遺族が遺体安置所について予備知識をお持ちでない場合も多いので、業者から適切な場所を提案される場合もあります。
打合せ
ご遺体を搬送し、ホテルや霊安室で安置した後、葬儀の打ち合わせを行います。
この打ち合わせで、葬儀の日程、宗教上の希望、参列者の予定人数、配膳の方法などが決まります。
また、施設の料金や面会時間、遺体の預かり期間など、施設の規則についても説明されます。
多くの場合、搬送、安置、葬儀は同じ会社が担当します。搬送はA社、安置はB社、葬儀はC社というように、サービスごとに別々の会社を選択することも可能ですが、必ずしもそうできるとは限りません。
その場合、葬儀は搬送と安置を担当した会社に委託するのが一般的です。
火葬場・葬儀場に搬送
故人の遺体は、通常、葬儀の当日に葬儀場や火葬場へ搬送されます。
通夜が始まる2~3時間前に霊安室から斎場へご遺体を搬送します。通夜を行わずに火葬する直葬の場合は、遺体を霊安室から火葬場へ直接運びます。
通常、霊安室の施設利用料は、葬儀全体の支払いに含まれています。
遺体ホテルを利用する場合の注意点
遺体保全に注意する
遺体を不適切に保管すると、遺体に損傷を与える可能性があることを理解しておくことが大切です。
そのため遺体ホテルを利用する場合は、遺体を低温で保管する設備があるか、また、必要に応じて遺体に詰め物や化粧を施す専門家がいるかどうかを確認することをおすすめします。
また、事故死など遺体の損傷が激しい場合に備えて、エンバーミングの技術者が在籍しているかどうかも確認しておくことが大切です。
契約前にその旨を伝え、保管の可否を判断してもらうと安心です。
安置と葬儀もできるか確認
霊安室への最初の電話連絡の際に、その霊安室が葬儀を行う施設なのか、それとも霊安室のみの施設なのかを確認することが重要です。
葬儀は別の場所で行い、それまで遺体を安置しておきたい場合は、安置サービスのみを選択することもできます。
一方、通夜や葬儀を省略し、ご遺体を安置した後に火葬のみを行う直葬を希望される場合は、安置サービスが適しています。
ただし、安置施設で故人と静かにお別れを行いたい場合は、葬儀を行える施設を選ぶ必要があります。
故人のホテルだけではなく喪主などの宿泊先を確保する
遺体安置施設を利用する場合、故人しか宿泊できないため、喪主や親族の宿泊施設の確保は非常に重要です。
特に、喪主の自宅とホテルが離れている場合、宿泊施設の確保は特に大切です。また、親族が毎日のように故人を訪ねてくるような場合には、喪主の宿泊先がホテルの近くにある方が便利かもしれません。
このように、遺体ホテルの利用を検討する際には、葬儀全体の流れや喪主・親族の宿泊先などを計画することが不可欠となるのです。
遺体ホテル以外の安置方法
遺体ホテルが難しい場合、故人を安置する場所は他にもあります。専用施設のある斎場や自宅が選択肢の一つです。
安置施設のある斎場で葬儀を行う場合は、葬儀前にそこに遺体を安置するよう依頼することができます。
ただし、空き状況によっては、遺族が一緒に泊まれるような高価な部屋に宿泊してもらうこともあり、費用がかさむこともあるので注意が必要です。
葬儀は、火葬場の都合により、故人の死後2~3日後に行われることもあります。
遺体ホテルについてよくある質問
遺体ホテルのメリットを教えてください
「衛生面で安心できる」「家族だけで静かに送ることができる」「自宅で安置できない時に有用」というメリットがあります。
遺体ホテルのデメリットを教えてください
「安置費用が高くなる場合がある」「自由に面会ができない場合もある」「複数の遺体を一室で安置している場合もある」というデメリットがあります。
遺体ホテルを利用する場合の流れを教えてください
「遺体搬送車を手配する」「打合せ」「火葬場・葬儀場に搬送」という流れとなります。